都市社会の重要な機能のひとつが交通・流通です。これによって政治経済は著しく左右され、もちろん人々の暮らしにも大きな影響を与えます。交通や流通が安全に正常に機能していることを皆さんは当然のこととし、安心して毎日利用しています。
しかし、高架道路・橋梁・鉄橋・トンネルなどのインフラ構造物は完成した時から老朽化が始まっています。更に車両などが通行することにより、少しずつ疲労が蓄積し傷んでくるのです。また、コンクリート構造物は雨や潮風によっても傷んでいきます。そのままメンテナンスをしないで長期にわたり利用を続けると構造物は崩壊してしまいます。
高架道路・橋梁・鉄橋・トンネルなどは補修や補強・部分交換などの維持管理によって半永久的に継続して利用することが出来ます。
《インフラ構造物の総合調査コンサルタント》とは、老朽化や損傷を点検・調査によって早期に発見し、必要に応じて精密検査や部材の切取り検査などを行い、損傷を分析して構造物の状態を正確に把握します。その評価査定をもとに、あらゆる技術的角度から適切で最善の補修・補強計画を導き出します。その上で設計を行い、現場での処置施工が速やかに遂行できるように関係各方面との調整を行います。こうして、インフラ構造物の点検・調査から施工業者に渡すまでを総合的にコンサルティングする業務です。
点検調査から設計までのあらゆるデータは記録保存を行います。
これらの膨大なデータは今後の点検調査によって受け継がれ、長期に亘り構造物の老朽化の履歴が分かるようにしています。
そこから将来にわたり、維持管理の計画が立案できることとなります。
今のそして未来の社会機能が継続して守られ、人々が安心して暮らすことが、《インフラ構造物の総合調査コンサルタント》の使命です。
2012年12月2日に起った中央自動車道笹子トンネル天井板落下事故。
天井のコンクリート板が約130mにわたって崩落し、死傷者が発生するというという悲惨な事故です。
供用開始後35年が経過していたこともあり、道路構造物の老朽化問題が注目されるきっかけとなりました。
こうした中、国土交通大臣は、当年を「社会資本メンテナンス元年」と位置付けます。
戦後の復興から自動車交通が増加し、高度経済成長期に集中的に道路整備が進み、現在では市町村道から高速道路まで120万kmにわたる道路が建設されています。それらの構造物はおよそ40~50年を経過し、老朽化が進みつつあるのです。
今、直面している危機は更に大きなものになろうとしています。
それを、財政面や防災対策・危機管理の面など、真に必要な社会資本整備とのバランスを取りながら、戦略的な維持管理・更新を行うことが求められているのです。
そして、政府が動きます。2013年道路法改正で予防保全の道路点検が閣議決定され明確化したのです。
道路の老朽化や大規模な災害発生の可能性等を踏まえた道路の適正な管理を図るため、予防保全の観点も踏まえて道路の点検を行うべきことを義務化しています。