点検・調査とは構造物が適切な状態に保たれているのかを確認し、必要に応じてその状況を検査し、その全てを記録する業務です。
点検の目的は多岐にわたっており、構造物も多種多様であることから、それぞれの目的を合理的かつ効率的に果たすために、点検の体系は初期点検・日常点検・定期点検・臨時点検の4タイプに区分しています。
内外構造株式会社の技術力を培った背景には、数十年間にわたり継続して同じ構造物の点検・調査を行い、その膨大な記録データを保持することが上げられます。この記録データを解析する能力こそが、内外構造株式会社が構造物の健全性や損傷の進行状態などを事前に予知することが出来る礎となっています。そうした、技術力は更に、新しい技術や損傷対策へと活されることとなります。
新規路線の建設や大規模な改築にあたって、以後の維持管理を行なう上での基礎資料となる構造物完成時の初期状態を把握することを目的としています。
事前に計画された長期点検計画に基づき、一定の期間ごとに構造物に接近して目視やたたき音また、簡単な計測により点検を行います。これにより、機能低下の原因となる損傷や劣化を早期に発見し、構造物の損傷度やその影響度を把握します。
又、対策の必要性やその内容を判断するための資料を得ることや補修あるいは補修工事の計画策定を行なうためのデータを得ることを目的とします。
道路上ではその交通を規制することなく、ドクターパトが走行しながら、舗装内部や床版上面そして側壁・防音壁を同時に、連続した計測により点検を行います。ドクターパトにはそのための赤外線カメラやレーザー変位計など数多くの計測装置が装備されており、このドクパトのシステムは、弊社と阪神高速技術㈱が共同開発した特許技術です。
近年、防食塗装の必要が無い耐候性鋼材の橋梁におけるさびの発生が確認されており、外観評価を行うことを基本とし、損傷ありの場合は当該箇所を、それ以外の場合は橋梁ごとに所定の箇所を毎回点検し、経年変化を把握することとしています。
コンクリート構造物の点検ではアルカリ骨材反応や塩害そして過度な負荷によるひび割れの兆候を発見し、その変化を把握することが重要です。
アルカリ骨材反応とは、コンクリートの細孔溶液中の水酸化アルカリと、骨材中のアルカリ反応性鉱物との化学反応による膨張によってコンクリートにひび割れが発生する現象です。
塩害とは、コンクリート中に存在する塩化物イオンの作用により鋼材が腐食し、コンクリート構造物に損傷を与える現象です。
トンネルの点検では全体的なトンネルの健全性を確認する「全般点検」が中心となります。地山の影響による構造物の変形など要注意箇所に対しては簡単な計測を行ないます。こうして、構造物の変状を時間的な経過を追って把握記録し、管理します。
点検において発見される損傷の中には、点検と同時に簡易的にその措置が可能なものもあり、そうした応急処置は積極的に行います。これは構造物の維持管理上非常に有益となります。
臨時点検には4タイプの《災害時点検》《事故時点検》《詳細点検》《特別点検》があり、必要に応じて適宜実施します。
地震や大雨、台風などの災害時に構造物への損傷を早期に発見し、更にその補修のためのデータを得ることを目的として行う点検です。土工部における法面では、大雨などの異常気象時に大規模な崩壊を起こすことがあります。台風時期などに点検を行うことが多くなります。
自動車などの事故が発生したことによる構造物への損傷を早期に発見し、更にその補修のためのデータを得ることを目的として行う点検です。重量物の構造物への落下や自動車が構造物に衝突することによる損傷の点検があります。
日常点検や定期点検を補い、構造物のより詳細な損傷状況の把握、損傷原因の究明、ならびに損傷状態の継続的な観察などを目的として行う点検です。構造物やその損傷の種類によって、それぞれの調査に適応する手法を採用します。
主な詳細点検の内容としては次のような手法があります。
コンクリートの部材厚や鋼材等の埋設物、空洞等を調査する非破壊検査。電磁波はコンクリートと電気的性質の異なる物体(鋼材や空気等)の境界面で反射する特性をもつため、電磁波の送受信にかかる伝播時間から反射物体までの距離や位置を求めることができる。
鉄筋コンクリート床版の上面に発生したひび割れ等の損傷の調査では、小径孔(直径10mm程度)をあけ、特殊カラー樹脂を注入し、エンコーダコントロールスコープで内部を確認する方法で、床版コンクリート内部の状況を確認します。
コンクリートは時間の経過、設置された環境からの影響を受けて、材料が劣化していきます。そこで、測定試料を採取し、蛍光X線のエネルギーを測定することによって目的元素の濃度が求められ、その影響を推定することができます。
鋼床版のき裂を確認する非破壊検査。フェイズドアレイ超音波探傷検査は、多数の探触子で構成されており、き裂位置や深さを容易に判別できる。
床版下面に変位計を設置し、荷重車が通過した際のたわみを測定します。
構造物の根本的な問題や基本設計に関わる調査・実験を行います。
主な点検内容は次のようになります。